個性あふれる美をめぐる
岡山・大人時間

掲載:2016年 vol.25

この夏、新たな旅のテーマにおすすめしたいのが、個性豊かな美の世界をめぐる「大人ならではの贅沢な時間」。 舞台は晴れの国・岡山です。
今回は、「歴史ある町並み」「島と水辺のアート」「注目の美術館」の3つのコースで、ゆったりと流れる大人時間への旅にご案内します。

大人時間2 島と水辺の美にふれる

鷲羽山から瀬戸大橋を望む

鷲羽山から瀬戸大橋を望む
日本初の国立公園として知られる瀬戸内海国立公園の代表的な景勝地。とりわけ、鷲羽山から見た瀬戸内海に沈む夕景は絶景。

 岡山市で唯一の有人島「犬島」。島名は犬に似た巨岩に由来するという説や、枕草子で一条天皇が犬を追放した島の比定地(他と比較してここであるだろうと推定した地域)に由来するという説があります。瀬戸内海国立公園内に位置し、南東には小豆島がのぞめます。花崗岩の産地として知られ、大坂城や岡山城、江戸城、鶴岡八幡宮の鳥居などにも用いられてきました。また、明治42(1909)年に銅の製錬所(犬島製錬所)が建設されてからは、銅製錬の島としても繁栄しました。
 この犬島を舞台の一つとして2010(平成22)年から開催されているのが「瀬戸内国際芸術祭」です。現代美術の国際芸術祭で、トリエンナーレ(3年に一度開催する)形式で、瀬戸内海の島々で行われています。今年2016年も前回から3年目の年にあたり、犬島のほかに直島や豊島、小豆島など12の島と、高松港・宇野港の2つのエリアで、アーティストの作品展示やイベントが開催されます。犬島では、犬島製錬所を美術館として再生させた犬島精錬所美術館や、古い民家を利用したギャラリーなどが展開されています。
 犬島へのアクセスは、岡山の宝伝港から旅客船で10分、または芸術祭の期間中のみ運航する高速船(犬島ー小豆島)で25分。船を乗り継ぎ、周囲の島々をめぐりながら鑑賞するのもおすすめです。

瀬戸内国際芸術祭2016

開催期間
[夏]2016年7月18日(月)〜9月4日(日)
[秋]2016年10月8日(土)〜11月6日(日)
開催地
直島・豊島・女木島・男木島・小豆島・大島・犬島・本島[秋のみ]・高見島[秋のみ]・粟島[秋のみ]・伊吹島[秋のみ]・高松港・宇野港周辺
※犬島精錬所美術館・犬島「家プロジェクト」は、ベネッセアートサイト直島の施設として通年開館しています。開館時間、休館日など詳細は、ホームページでご確認ください。

※下記の写真をクリックすると拡大します。

犬島精錬所美術館石職人の家跡

(左) 犬島精錬所美術館(写真:阿野太一)
近代化産業遺産である銅製錬所の遺構を美術館として再生。三分一博志氏の建築と柳幸典氏の作品で構成される。犬島産の石やカラミレンガを使った空間の中で、三島由紀夫をモチーフとしたアート作品が鑑賞できる。
(右) 石職人の家跡(写真:Takashi Homma)
淺井裕介「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」
ゴム素材を地面に焼き付ける手法で動物や植物、船などを描いた作品。今回の芸術祭に合わせて、絵が敷地内から飛び出すように成長させた。

犬島「家プロジェクト」S邸犬島「家プロジェクト」A邸

(左) 犬島「家プロジェクト」S邸(写真:Takashi Homma)
荒神明香「コンタクトレンズ」
透明アクリルの壁が連なるギャラリーに、大きさや焦点が異なる無数の円形レンズで構成された作品を設置。周囲の木や家の軒先、歩く人々など集落の風景がさまざまな形や大きさで映し出される。
(右) 犬島「家プロジェクト」A邸(写真:Takashi Homma)
荒神明香「リフレクトゥ」
円形で透明アクリルのA邸は、中に入ると作品と外の風景が眺められる。このギャラリーに、華やかな色の造花の花びらを上下対称に貼り合わせた作品を展示。空や山、周囲の民家などの光景との連続性が感じられる。

エステル・ストッカー「JR宇野みなと線アートプロジェクト」
淀川テクニック「宇野のチヌ」

 岡山には、もう一つ水辺のアートがあります。倉敷市南部の水島臨海工業地帯を中心に構成される「水島コンビナート」です。石油精製・鉄鋼生産・自動車など重化学工業の企業コンビナートとして日本有数の規模を誇り、総面積2500ヘクタールの一帯に200を超える事業所があります。夜に無数の光が浮かび上がる様子はまさにアートのように絶景で、「夜景100選」にも選出。春から秋にかけて、瀬戸内海の夕景と水島コンビナートの夜景をめぐるクルージングツアーも人気です。

水島コンビナート

水島コンビナート
無数の光が灯り、妖しくも美しい幻想的な夜景。昼と夜でまったく違う表情が楽しめる。

大人時間3 個性豊かな美術館をめぐる

奈義町現代美術館  展示室「大地」奈義町現代美術館  展示室「月」
奈義町現代美術館

奈義町現代美術館
世界的な建築家として知られる磯崎新氏により設計され、1994(平成6)年に開館。奈義町現代美術館は通称「Nagi MOCA(ナギ・モカ)」と呼ばれ、作品と建物が一体化した常設型美術館の先駆けです。館内は太陽、月、大地と名付けられた3つの展示室があり、常設展、企画展はもちろん、個性的な外観も楽しむことができます。日毎、季節ごとに空間や作品の表情の変化を捉えられるのが魅力で、それぞれの展示室で静かに一人ひとりが全身の感覚で“自分なりの何か”を感じられるようになっています。

岡山市立オリエント美術館 岡山市立オリエント美術館

岡山市立オリエント美術館
学校法人岡山学園から、古代オリエントの美術品1947点が寄贈されたのを機に建設された美術館。学術的に系統だった収集が特徴で古代オリエントの歴史と文化を理解する上で欠かせない、さまざまな分野の資料が取りそろえられています。現在は、4800点あまりの考古美術品を所蔵。西日本におけるオリエント研究の拠点、また公立として国内唯一の専門美術館として、調査研究・教育普及にも注力しています。

大原美術館大原美術館

大原美術館
倉敷を基盤に幅広く活躍した事業家・大原孫三郎氏が、前年死去した画家児島虎次郎氏を記念して1930(昭和5)年に設立した、日本最初の西洋美術中心の私立美術館。西洋の近代から現代の美術、日本の近代から現代の美術、民芸運動にかかわった作家たちの作品を多くコレクションし、日本人の心情に裏打ちされた独特の個性を発揮するユニークな民間総合美術館として世界に知られています。現在は、毎夏の美術講座や、世界を代表する音楽家を迎えてのギャラリーコンサートを開催。諸芸術との多彩なコラボレーションを展開しています。

夢二郷土美術館夢二郷土美術館

夢二郷土美術館
夢二郷土美術館本館は、岡山出身の竹久夢二の里がえりを念じて1966年に創設され、夢二の生誕100年を記念して岡山後楽園そばに開館。代表作「立田姫」をはじめとした屏風、軸などの肉筆作品、夢二がデザインした本、楽譜、書簡など、約3000点を収蔵しています。年に4回の企画展を開催し、常時約100点の夢二の作品を展示しています。また瀬戸内市には夢二生家、アトリエを再現した少年山荘を分館として公開。夢二芸術の原点にふれることができます。

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