松山・道後・内子をめぐる
愛媛レトロ旅

掲載:2016年 vol.24

四国地方の北西、瀬戸内海に面した愛媛県。
穏やかな気候や自然に恵まれたこの地で育まれた豊かな文化は、
時代を経て、現在も大切に守り、語り継がれています。
今回は、愛媛県の中でも江戸時代から近代までの風情を色濃く残す、
松山・道後・内子の魅力をご紹介します。

伝統的な造りの屋敷が並ぶ、
どこか懐かしい昔町の風景。

内子

 松山から列車で約25分、愛媛県の南部・南予地方に位置する内子。江戸時代後期から明治時代にかけて木蝋の生産によって栄えた町です。八日市護国地区には、約600メートルの通りに伝統的な造りの町家や豪商の屋敷が軒を連ね、当時の面影を今も色濃く残しています。古い屋敷は浅黄色の土壁が特徴で、これは地元の土で塗られたもの。黄土による独特の温かさが感じられ、そこに漆喰の白色が美しいアクセントになっています。朝夕の陽の光によってさまざまに変わる表情もまた魅力。どこか懐かしい風景に、まるでタイムスリップしたような感覚になるでしょう。

古くからの暮らしや娯楽を伝える、
内子の建築や資料館は必見。

 「内子座」は、1916(大正5)年に大正天皇の即位を祝って創建された芝居小屋です。木造2階建ての瓦葺き入母屋造りで、純和風様式。回り舞台や花道、桝席、楽屋などがある本格的なつくりで、当時の建築技術の粋を集めて建築されました。娯楽が少なかった当時の庶民にとって、内子座にやってくる興行は大きな楽しみの一つ。歌舞伎や人形芝居などの公演の際には、弁当や酒、肴などを持参した大勢の観客で大盛況だったそうです。近年になり老朽化が進み、取り壊しの案も出されましたが、地元有志の熱意により改修が決定。1985(昭和60)年に復元工事が完了しました。現在は町内外の芸術文化活動の拠点として活用されています。また、毎年8月には文楽の定期公演を実施。内子座の夏に欠かせない風物詩として、全国の文楽ファンが訪れます。公演がない時も、館内を見学することができます。
 内子には、古くからの暮らしぶりを今に伝える興味深い資料館や博物館があります。「商いと暮らし博物館」は、大正時代の薬局の店舗と家屋を再現。当時の薬、雑貨、看板を展示する他、等身大の人形を使って店売りや食事の様子などを伝えています。「木蝋資料館 上芳我邸」は、もともと木蝋生産で財を成した上芳我家の屋敷。敷地には住居の他に木蝋生産施設も現存し、そのうち10棟が重要文化財に指定されています。また内子郊外にある「五十崎凧博物館」も必見。五十崎地区は、伝統行事である大凧合戦が有名な地域で、この博物館には日本や世界各地の凧が常時400点も展示されています。凧上げや凧作りの体験もできます(要予約)。内子を訪れた際には、和ろうそくや五十崎地区で守り継がれている手漉和紙にもぜひ触れたいものです。昔ながらの丁寧な仕事ぶりや、豊かな文化を肌で感じることができるでしょう。

内子座
カラフルな幟(のぼり)に気持ちも弾む内子座。1916年の創建から、今年で100周年を迎える。

内子座
内子座

光沢が美しい木造の内観。大正時代の劇場の雰囲気を体感できる。公演がない時は、自由に見学できる(有料)。

五十崎凧博物館

五十崎凧博物館

ろうそくと手漉和紙

内子町で伝統が受け継がれているろうそくと手漉和紙。

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