豊かな風土と文化が今に生きる
滋賀・昔町風景

掲載:2016年 vol.23

日本一の大きさを誇り、四季折々の水辺の風景が美しい琵琶湖。
古くから、地域の人々の身近にあり、その生活をうるおしてきました。
また、近江商人によって発展した周辺の豊かな文化は、今も町の至るところで感じられます。
今回は、おおらかな時間が流れる、滋賀の魅力をご紹介します。

“青い目の近江商人”が生んだ
美しい建築が町を彩る。

 近江八幡では、今もその功績が讃えられ愛されている建築家がいます。ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏(1880〜1964年)です。1905年に滋賀県立商業高校(現八幡商業高校)の英語教師として来日し、建築家として活躍する一方で、医療・教育・出版など幅広い事業を展開。ヴォーリズ合名会社(後の近江兄弟社)の創設者の一人としてメンソレータム(現メンターム)を普及させる他、キリスト教の伝道、讃美歌といった音楽の作詞作曲なども行いました。1941(昭和16)年に日本に帰化。近江八幡で精力的に活躍したことから、「青い目の近江商人」と呼ばれ、近江八幡市名誉市民にも選ばれています。
 ヴォーリズ氏が愛したこの地には、教会や学校をはじめ、個人の住宅など多くの建築物が建てられ、今も大切に残されています。例えば「ハイド記念館」は、ヴォーリズ氏の妻が開設・運営した清友園幼稚園の園舎として1931(昭和6)年に建てられました。後にヘレン・ケラーが来校し、教育会館で講演を行っています。クリーム色の化粧しっくいの壁と、赤い瓦が、当時の人々の目にはモダンに映ったことでしょう。また「アンドリュース記念館」は、ヴォーリズ氏の処女作と言われています。最初にYMCA会館として竣工し、後に今の場所で改築。ヴォーリズ氏はYMCA活動を通して「近江ミッション(近江基督教伝道団)」を設立しましたが、アンドリュース記念館はその拠点となりました。「旧八幡郵便局」は、1921(大正10)年に建てられた旧郵便局舎です。正面妻壁を曲線状に立ち上げたスペイン風の玄関が特徴。大きな窓、アーチ状のフォルムなど、独自のスタイルで、当時から地元の人々に愛されました。現在は、ヴォーリズ建築の保存活動の拠点・交流館として利用されています。

ヴォーリズ像

ヴォーリズ像

ハイド記念館

ハイド記念館

アンドリュース記念館

アンドリュース記念館

旧八幡郵便局

旧八幡郵便局

ガラスをテーマに生まれ変わった、
商家が並ぶレトロな町。

 古い商家などを生かしたお店が並び、近年特に注目を浴びているのが、長浜市の「黒壁スクエア」です。長浜市は、かつて羽柴(豊臣)秀吉が築いた長浜城の城下町として発展し、北国街道の宿場町としても栄えました。1900(明治33)年に建てられた旧第百三十国立銀行長浜支店を改築した「黒壁ガラス館」を中心に、町屋を再利用した約30の施設が並びます。
 黒壁スクエアはガラスをテーマにしたエリアで、ガラス商品を扱うギャラリーやショップが並びます。ステンドグラスなどの作品を作る体験教室やガラス工房などもあり、買い物だけでなく自分でガラス製品を作る楽しみも。またアンティークを取り扱う店もあり、昔懐かしい風情を感じる空間で、しばしタイムスリップしたようなひとときが味わえます。
 このように、古き良きものを大切に守り、今に活かしながらしなやかに発展してきた滋賀の町々。自然とのふれあいに満ち、穏やかな空気に包まれているのも大きな魅力です。

黒壁スクエア(黒壁ガラス館)

黒壁スクエア(黒壁ガラス館)

黒壁スクエア 黒壁スクエア 黒壁スクエア
黒壁スクエア

黒壁スクエア
江戸時代の町並みを残しながら、さまざまなガラス製品を扱うギャラリーやショップが並ぶ「黒壁スクエア」。吹きガラスの体験ができる教室もある。

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