個性的な秘湯が点在する磐梯高原

絶景の山岳地帯に

磐梯吾妻スカイライン

ダイナミックな景観に春夏秋冬とそれぞれの美しさを持つ磐梯高原は、磐梯山、安達太良山、吾妻山と、いずれも那須火山帯に属する活火山に囲まれ、周辺は泉質も良く湯量も豊富な温泉の宝庫です。特に前回紹介した磐梯吾妻スカイライン周辺は、昔ながらの秘湯の趣をもつ宿、長期間滞在する湯治客が多い宿と、個性的な温泉が点在しています。旅の拠点として、あるいは観光の合間に立ち寄ってみてはいかがでしょう。

無色透明だったり、白く濁っていたり、茶褐色だったり、硫黄の臭いがしたり、温泉といってもいろいろです。それは温泉に含まれる成分の違い、泉質が原因です。猪苗代湖・磐梯高原の温泉は、沼尻、中ノ沢のように安達太良山系の温泉は硫黄泉で強い臭いがあり白濁していますが、磐梯山周辺の温泉は塩分を含み無色透明です。

このような泉質によって温泉の効用も変わってきます。例えば硫黄泉は高血圧、動脈硬化、慢性皮膚病、慢性婦人病、筋・関節痛、痔などに効能があるといわれ、塩化物泉は冷え性や婦人病、関節痛に良いとされています。温泉の効用は科学的にはまだはっきりと分かっていないのですが、温泉水に含まれる物質の化学成分による薬理作用と、温圧や水圧、浮力などの物理的作用によるリラックス効果や温熱効果が、総合的に身体を刺激して得られるものと考えられています。

しかしよく効く薬ほど、使い方を間違えると毒にもなりかねません。温泉も同様で、「効能」がある反面「禁忌症」があります。禁忌症とは、温泉に入浴してはいけない症状を示したものですので、心配があるときは入浴前にチェックしてください。またどんな温泉でも、血圧や心臓に異常や不安がある場合は注意が必要です。 透析を受けている方は、主治医と相談し、体調が悪いときは入浴を避け、飲泉は止めましょう。特に長湯は厳禁です。

風光明媚で空気の澄んだ土地、温泉はそのような土地に湧出していることが多く、温泉地を訪れるだけで心身ともにリフレッシュできる良い機会です。 最近では透析を受けている方にも温泉を楽しむ方が増えていますが、せっかくの思い出を台無しにしないよう、くれぐれも温泉をあなどることなく、元気で楽しい旅をお続けください。

温泉コラム
ポイント 1

高湯温泉

磐梯吾妻スカイラインの吾妻小富士には歌人、斎藤茂吉歌碑が建っています。茂吉は大正5年に高湯温泉に連泊し、吾妻山の歌を残しています。茂吉が訪れた磐梯吾妻スカイライン福島側の起点である高湯温泉は、古くは信夫高湯と呼ばれ、山形の蔵王温泉、白布温泉と並ぶ奥州三高湯のひとつとして知られてきました。標高750mの温泉街は、春の新緑、秋の紅葉風呂はもちろん、冬の雪見風呂はまた格別です。

かつては湯治場として賑わいをみせていましたが、現在はじっくりと湯につかることができる静かな温泉街です。温泉街から30分も歩くと、落差30mの堂々とした不動滝が轟音を響かせています。滝壺まで遊歩道が整備されているので、夏には深緑のなか涼を求めて、秋には美しい紅葉を求めて、散策してみてはいかがでしょう。

温泉街の背後に連なる吾妻連峰を、高湯温泉から土湯峠まで走る磐梯吾妻スカイラインはまさに天空の道、ヘアピンカーブが連続するなか、絶景ポイントが続きます。太陽が西に傾く頃、このダイナミックな光景はますます美しさを増し、見渡す限りの山々が真紅に染まり、限りなく広がる大空も、湖も、すべてが赤々と輝きます。作家井上靖に「壮麗な幻想交響詩のフィナーレを奏でるようだ」といわせた夕景迫る国見台は、磐梯吾妻スカイライン土湯峠手前の展望ポイントです。

高湯温泉

高湯温泉

高湯の不動滝

高湯の不動滝

吾妻八景のひとつ、会津盆地を一望する国見台

吾妻八景のひとつ、会津盆地を一望する国見台

磐梯吾妻スカイラインの頂上、浄土平

磐梯吾妻スカイラインの頂上、浄土平

ポイント 2

土湯温泉郷

磐梯吾妻スカイライン土湯峠の界隈は、野地、鷲倉、幕川、赤湯などの土湯峠温泉郷をはじめ、横向温泉、中ノ沢温泉・沼尻温泉など多くの温泉が点在しています。決して大きな温泉街ではありませんが、それぞれが独特な個性を持った温泉ばかりです。

土湯温泉は、阿武隈川の支流、荒川沿いに湯宿が軒を連ねる山峡のいで湯で、聖徳太子ゆかりの温泉といわれます。江戸時代には「十湯十薬、飯坂9楽」と詠われたように、約10種類もの泉質に恵まれて、宿によって泉質が異なることもあるとのこと、立ち寄り入浴でその違いを楽しんでみたい気がします。温泉街ではお得な「ゆったり入浴券」を求めると、指定の旅館の立ち寄り湯ができ、4カ所の足湯スポットも設置されています。

山間にたたずむ「男沼」、「仁田沼」、「女沼」の3つの湖は、土湯温泉から歩いて約2〜3時間でまわれるおすすめのハイキングコースです。樹木がうっそうとした男沼、約10万株の水芭蕉の群生する仁田沼、広く開けて明るい女沼、その途中には2段になって落下する「思いの滝」や「ツツジ公園」があり、ハイキングを楽しむ人の姿も見かけます。ドライブなら、土湯峠から磐梯吾妻スカイラインを高湯方向へでも、磐梯高原や猪苗代湖方面へでも、どちらに行ってもの四季折々の風光明媚な光景が待っています。

静けさを求めるなら、荒川上流の奥土湯温泉がおすすめです。さらに秘湯の趣を求めるなら、新野地温泉か鷲倉温泉が良いでしょう。鷲倉温泉は磐梯吾妻スカイラインの土湯峠から福島側に少し下った標高1230mにあり、早朝に条件が整うと、眼下に雲海が広がるダイナミックな景観を楽しめます。

鷲倉温泉からさらに奥に入ると、秘湯の趣をさらに濃くした幕川温泉があります。毎年11月から4月までは積雪のために休業するので注意してください。落差30mの幕滝へは歩いてすぐ、磐梯吾妻スカイラインの入り口土湯峠までも車で10分、観光の拠点としては便利です。

土湯温泉

土湯温泉

土湯はこけしの里としても知られています

土湯はこけしの里としても知られています

仁田沼の水芭蕉

仁田沼の水芭蕉

磐梯吾妻スカイラインの雲海

磐梯吾妻スカイラインの雲海

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