おもてなしの星を集めて
城崎・香住の旅

掲載:2013年 vol.15

今年2月、フランスのミシュランが発行する「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で2つ星を獲得した城崎温泉。
「豊かな自然と人々との暮らしが融合した、日本ならではの生活様式美とおもてなしの心があらわれた、素晴らしい街である」と認められました。
今回は、世界が賞賛する日本屈指の温泉街の魅力を訪ねて、城崎とお隣の町・香住を旅します。

歴史ある湯の街「城崎」。
おもてなしの心は、今も受け継がれる。

 温泉街の西へ向かうと大師山があり、ふもとからロープウェイに乗ることができます。これは黒部ダムの建設でも有名な郷土の偉人・太田垣士郎氏の発案で建設されたもので、のりば近くには資料館もあります。山頂までは約7分。ゆったりと揺られながら、春夏は緑、秋は紅葉、冬は雪景色など四季折々の山の表情が満喫できます。頂上には展望台があり、温泉街一帯や円山川を一望。晴ればれとした気持ちになります。
 ロープウェイの途中、温泉寺駅の前には、駅名にもなっている「温泉寺」があります。城崎温泉の守護寺としても知られ、開祖・道智上人の一千日祈願によって湧き出したのが、外湯の一つ「まんだら湯」とされています。738(天平10)年に開創された古刹で、本堂は和様・唐様・天竺様の三洋式が融合した造り。この本堂と、本尊の木造十一面観音菩薩立像はともに重要文化財に指定されています。
 また大師山のふもとには、見事な枯山水の庭園で有名な「極楽寺」があります。創建は、応永年間(1394〜1428年)。清々しく掃き清められた山門をくぐると、黒と白砂のコントラストが見事な「清閑庭」があり、境内からもゆったり眺めることができます。
 城崎は、古くから風光明媚な自然と地元ならではの豊かな食材に恵まれた土地でした。そこに温泉が湧き出で、江戸時代の貸し物屋では三味線、すごろく、碁、琴、さらには槍や刀まで貸していたと言います。このように、客が帰るのを忘れさせるほどもてなしたのです。当時の「おもてなしの心」は受け継がれ、今もこの街に深く息づいています。

大師山のふもとと山頂を結ぶロープウェイ

大師山のふもとと山頂を結ぶロープウェイ。途中の「温泉寺駅」では、温泉寺や城崎美術館に立ち寄れる。

極楽寺

枯山水が見事な極楽寺。法話を聞くこともできる。(要問合せ)

温泉寺

今から1275年前に建てられた、由緒ある古刹・温泉寺。境内には文化財に指定された多くの仏像が安置されている。寺宝はとなりにある城崎美術館でも鑑賞できる。

司馬遼太郎の文学碑

司馬遼太郎の文学碑。城崎を訪れて100周年を数える志賀直哉をはじめ、多くの作家が城崎を愛し、現在ある文学碑は全部で24点を数える。

日本海に開けた美しい海の町・香住。
天空へと続くような橋を渡る。

 城崎から列車で30分ほど西へ向かうと、香住という町があります。ここは冬はカニで有名ですが、夏は海水浴やマリンスポーツが楽しめ、また一年を通して釣りに訪れる人も多いところです。香住の海は澄んで美しく、地元の遊覧船では、大迫力の岩壁や洞門などをめぐることができます。
 香住には、余部(あまるべ)という地域があり、数年前に惜しまれながら橋梁が架け替えられた「余部鉄橋」で知られています。現在はコンクリート製に生まれ変わりましたが、保存されてきた以前の赤い橋脚上部には展望台「余部鉄橋 空の駅」がオープンし、ファンに親しまれています。
 小高い山の上にある餘部駅から下ると、風情ある港町の家々が並びます。ほどなく海が広がり、余部漁港の先に続く千畳敷では、釣り人が糸を垂れる姿も。近くには道の駅もあり、地元の名産品を手に入れることもできます。
 バスで北へ上がると、日本一の高さを誇る御崎灯台(余部埼灯台)があります。灯台の高さは14メートルですが、海面から灯台の光源までの高さは284メートル。山陰海岸が一望でき、晴れた日は丹後半島まで見渡せます。澄み渡った秋の夜空に、まっすぐ輝く光を投げかける姿が目に浮かびます。

余部の風景

新しい橋梁を列車が走る、余部の風景。すぐ手前が餘部駅。

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