神々を訪ねる
出雲・松江の旅

掲載:2013年 vol.13

60年に一度の「修造遷宮」が行われている出雲大社。
今年5月には、その集大成とも言える「本殿遷座祭」の神事が行われます。
今回ご紹介するのは、出雲・松江の神社を中心に、鳥取の境港まで足を伸ばす旅。
日常に神々の存在がとけ込んだ場所で、感じられるものとは

国譲り神話の舞台にもなった海神を祀る美しい浜

 出雲大社の西方には、「稲佐の浜」と呼ばれ、その美しさから日本の渚百選にも選ばれた海岸があります。国譲りの神話では、大国主大神が、天照大御神の使者に国譲りを迫られたと言い伝えられる場所です。
 旧暦10月10日の夜には、全国の神々が出雲大社の神使いである龍蛇の先導で海を渡って、この浜に着くとされ、神迎えの神事が行われます。神々は「神籬(依り代)」に姿をうつし、白布で覆われて出雲大社へ向かい十九社に鎮座。そして神在祭の7日間が終わると、神等去出祭の儀式によって、仮拝殿からまた全国へと帰ります。
 稲佐の浜に立つとすぐ目に入るのが、弁天島です。神仏習合の頃は弁財天が祀られていましたが、今は海の神霊である豊玉毘古命が祀られています。また、かつてははるか沖にあったため「沖御前」と呼ばれており、昭和60年頃まで島は海に浮かぶように見えていたとか。近年急に砂浜が広がり、現在では島の前まで歩いて行けるようになりました。この近くには、出雲大社に供えるための塩を汲む「塩掻島」をはじめ、国譲りの神話に残る「屏風岩」や「つぶて岩」が残り、今も歴史とともに神々の姿を身近に感じることができます。

弁天島

弁天島
稲佐の浜に浮かぶ島で、その名は弁財天信仰に由来する。弁財天は水の神としての性質を持ち、豊漁や海難除けを祈願する漁師たちの守り神とされる。今は海の神・豊玉毘古命を祀る。

暮らしから生まれた、非日常の存在。
境港で出会う、愛らしい「妖怪」

 古くから、自然や身近なものに神が宿るという考えを持っていた日本人にとって、妖怪もまた「民間信仰」として伝承される信仰の一つの産物でした。妖怪とは、主として人智を超えた不可思議な力を持つ存在のことを指しましたが、これは日本人の自然に対する畏怖の念や、古く老いたものを神聖視する価値観を具現化したものとも考えられています。日本人の心や思考のあり方を表す、一 つの形とも言えるでしょう。
 出雲の東方にある松江をさらに東へ進み、鳥取の境港へ出ると、そこにはなんとも親しみやすい妖怪が佇んでいます。水木しげる氏が描く妖怪の世界観をテーマとした「水木しげるロード」では、代表作『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターを中心に、日本各地の妖怪をモチーフにした銅像などのオブジェを設置。平日でも、全国から幅広い年代の観光客が訪れます。また、穏やかな港町を鬼太郎やねこ娘、こなき爺などのキャラクター人形がゆったりと歩き、人々と触れ合う様子は、神々や妖怪と人間が共存する世界を感じさせ、楽しい気持ちにさせてくれます。

水木しげるロード
水木しげるロード
水木しげるロード

水木しげるロード
1993(平成5)年にオープンした、鳥取県境港市の商店街。水木しげる氏の『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するキャラクターの銅像をはじめ、妖怪神社、記念館などが建ち並ぶ。

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