異国の香りに誘われて
きらめく光のまち 長崎

掲載:2012年 vol.12

毎年2月の旧正月に開催される「長崎ランタンフェスティバル」。
2013年は20周年を迎え、長崎の街は、ますます華やかに彩られることでしょう。
今回は「光」をテーマに、異国情緒あふれる港町の姿をご紹介します。

しなやかで優美な姿に酔う美しい酒器

 ヨーロッパ製のガラスは、1551(天文20)年にフランシスコ・ザビエルによってもたらされました。ガラス製の珍しい器は、ポルトガル語のまま「vidro」と呼ばれ、長崎で国内初のガラス製造が開始。18世紀には、細くしなやかに曲がった注ぎ口が特徴の急須型酒器「長崎ちろり」が誕生しました。
 多くの人を魅了した長崎ガラスは、その製法が大阪方面へと伝わるにつれ廃れ、戦争を期に一時生産が途絶えました。しかし近年、復元する人々が現れ、再び地元・長崎で受け継がれつつあります。

長崎ちろり
ガラス工房「瑠璃庵」
ガラス工房「瑠璃庵」

ガラス工房「瑠璃庵」では、長く途絶えていた「長崎ちろり」を再現。ガラスを約1100度まで熱し、何度も成型。注ぎ口になる部分のガラスをつまんで一気に20〜30センチ伸ばす。職人の見事な技で、10分ほどで本体が完成。

女性が憧れ続けたあでやかな髪飾り

 べっ甲も、長崎で大きく発展した工芸品の一つ。その理由は、長崎が鎖国によって中国やオランダとの唯一の貿易港になり、べっ甲の原料が容易に手に入るようになったためでした。江戸時代のべっ甲は、櫛やかんざしなどが中心で、現在と同じように大変高価なもの。しかしその美しさゆえ、花街丸山の遊女をも魅了し、広く女性の装いに影響を与えました。いつの時代も「美しくいたい」と願う女性たちの髪と心を、艶やかに装ってきたのです。

『鯉の置物』

日本で最も古い歴史を持つ、「江崎べっ甲店」6代当主・江崎栄造さんが制作した『鯉の置物』。1937(昭和12)年のパリ万国博でグランプリを獲得した。

べっ甲かんざし

その名も愉しい、異国情緒あふれるガラスの玩具

 ガラスの種を吹いて作るガラス細工全般を「ビードロ細工」と呼びます。では、長崎土産としても有名な、息を吹き込んで音を出すガラスのおもちゃはというと、本当は「ポッペン」という名前なのです。かつて喜多川歌麿という絵師が「ビードロを吹く娘」という題で、江戸美人がポッペンを吹く様子を描いていますが、この絵が有名になったことで、今でも「ポッペン」を「ビードロ」と呼ぶ人が多いとか。
 ポッペンはオランダから持ち込まれたもので、管から息を吹き込むと「ポコンポコン」と鳴ることから、この名が付いたと言われています。底部が大変薄く作られており、ガラスの弾力性を活かして音が鳴る仕組みです。
 江戸時代には、丸山の遊女や子どもの間で流行しました。また、おもちゃとしてはもちろん、「この音で一年の厄を追い払う」という願いを込め、正月の縁起物としても全国的にも広まったそうです。
 今ではステンドグラスのようなカラフルなデザインから、長崎の風景を描いたものまで、とりどりのポッペンがあります。

ポッペン

さまざまな色・柄があるポッペン。「ポッピン」「ポペン」「べこべこ」 「博多チャンポン」など、地域によって呼び方が異なるのもおもしろい。

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