豊かな水が育んだ風光と歴史
日光 水の郷をゆく

掲載:2012年 vol.11

2012年11月、世界遺産条約が採択されて40周年になります。
そこで今回は、国内における世界遺産の一つ「日光東照宮」が鎮座する日光にスポットを当て、中でも豊かな「水」にまつわる史跡などをご紹介します。

たっぷり湛えられた水に
人は心もからだも癒される

 日光市内から西に位置する奥日光には、周囲約25キロ、最大水深163メートルの中禅寺湖があります。中禅寺湖は、男体山の噴火による溶岩で渓谷がせき止められてできた湖で、水面の海抜1,269メートルは、自然の湖としては日本一の高さを誇ります。戦国時代より定住する人が少なく、男体山を信仰の場として女人牛馬禁制が布かれていたこともあり、人の往来は多くありませんでしたが、明治になるとこれも解かれ、1876年には明治天皇が来晃。中禅寺湖を「幸の湖」と名付けました。
 現在では人気の観光地となった中禅寺湖を、リゾート地として育てたのは、外国人でした。欧米各国の外交官たちが避暑に訪れるようになり、湖畔に別荘を建築。今でも、イタリアやフランスなど、4カ国の大使館別荘が湖畔に佇んでいます。中禅寺湖は、ボートや遊覧船で湖上を巡ることもできます。水が澄んでいるため、魚が泳ぐ姿を見られることもあるでしょう。また、周辺にはハイキングコースもあり、桜やミズナラ、ブナ、カエデなど、四季折々の植物や、山の動物たちとの出会いを楽しむことができます。
 禅寺湖からさらに北西に向かうと、約1200年前に発見された歴史ある湯元温泉があります。古くから薬師湯や観自在湯、川原湯など9つの湯があり、共同浴場として9人の湯守と呼ばれる人たちによって管理されてきました。泉質は硫黄泉で、今も大自然の雄大な景色とともに、旅客の疲れを癒してくれます。
 また、日光市から北に位置する鬼怒川温泉も、「関東の奥座敷」と呼ばれる屈指の温泉郷。もともとは、日光詣での大名や日光山の僧侶たちだけが入ることを許された温泉でした。泉質はアルカリ性単純泉。新緑や紅葉の季節には、鬼怒川ライン下りと合わせて、自然の恵みを満喫するのもおすすめです。

鬼怒川温泉:1752年に発見された歴史ある温泉。当初「滝温泉」という名前で鬼怒川西岸に広がっていたが、後年東岸に「藤原温泉」が発見され、二つを合わせて「鬼怒川温泉」となった。

鬼怒川温泉
1752年に発見された歴史ある温泉。当初「滝温泉」という名前で鬼怒川西岸に広がっていたが、後年東岸に「藤原温泉」が発見され、二つを合わせて「鬼怒川温泉」となった。

イタリア大使館別荘記念公園:1928年に建てられたイタリア大使館別荘は、チェコ出身の建築家アントニン・レーモンドによるもの。暖炉などは今も当時のまま残っており、和洋折衷の趣にあふれている。

イタリア大使館別荘記念公園
1928年に建てられたイタリア大使館別荘は、チェコ出身の建築家アントニン・レーモンドによるもの。暖炉などは今も当時のまま残っており、和洋折衷の趣にあふれている。

別荘のすべての部屋から中禅寺湖を眺めることができ、贅沢な空間を楽しめる。

別荘のすべての部屋から中禅寺湖を眺めることができ、贅沢な空間を楽しめる。

中禅寺湖:標高約1,200メートルと日本で最も高地にある湖。夏は涼しく快適なため、かつては外国人の避暑地としても賑わいを見せた。

中禅寺湖
標高約1,200メートルと日本で最も高地にある湖。夏は涼しく快適なため、かつては外国人の避暑地としても賑わいを見せた。

湯元温泉の源泉:湯ノ平湿原に源泉があり、温泉が湧き出る様子を見ることができる。立ち寄り湯や足湯なども多い。

湯元温泉の源泉
湯ノ平湿原に源泉があり、温泉が湧き出る様子を見ることができる。立ち寄り湯や足湯なども多い。

ページトップへ