2012年NHK大河ドラマ「平 清盛」の舞台を訪ねて
京都・平安文化の香り

掲載:2012年 vol.10

平安末期の文化と清盛ゆかりの芸術
今から約900年前の平安末期。
政治が乱れ、混迷する時代に武士として出世を果たし、大きな権力を手にした平清盛。
今回は、平氏一族が栄えた京都を中心に、
清盛や当時の平氏が深く関わった平安文化をご紹介します。

能楽
人の心のうつろいを切なく描いた伝統芸能

 清盛が送った激動の人生と、時の権力者としての強烈な人柄は、日本の伝統芸能である能楽にも大きな影響を与えました。能楽は、鎌倉時代後期から室町時代初期に完成したとされていますが、清盛やその近親者を題材にした作品がいくつかあります。
 中でも演目「祇王」は、清盛を取り巻く女性たちが織り成す、切ないストーリーで有名です。祇王という白拍子(今様などを演じる芸女)の姉妹が、ある時清盛に召し抱えられ、姉の祇王はとりわけその寵愛を受けます。3年ほど経った頃、京の都で名を馳せていた仏御前という白拍子が屋敷に現れ、一度は門前払いを受けるものの、祇王の取りなしで清盛への目通りが許されます。ところが清盛は、仏御前の舞を見て心変わりし、祇王姉妹を追い出してしまうのです。姉妹は母とともに出家し、嵯峨野に庵を結びますが、その後、世のはかなさを嘆いた仏御前も3人に加わり、静かに念仏を唱える日々を送りました。
 この「祇王」の他、「小督」「経盛」「敦盛」などが、清盛や平氏にゆかりのある演目です。かつて栄華を極めた平家のエピソードはどこか哀切が漂い、より一層深い幽玄の世界へと観る者をいざないます。

清盛に寵愛された二人の白拍子による相舞が美しい、能楽「祇王」。人(清盛)の心が移り変わっても、友情に変わりがないことを誓う。写真提供:金剛永謹能の会/金剛永謹 金剛龍謹/国立能楽堂

清盛に寵愛された二人の白拍子による相舞が美しい、能楽「祇王」。人(清盛)の心が移り変わっても、友情に変わりがないことを誓う。
写真提供:金剛永謹能の会/金剛永謹 金剛龍謹/国立能楽堂

祇王母娘と仏御前の悲しい物語が残る尼寺「祇王寺」。京都・奥嵯峨にひっそりと佇む。

祇王母娘と仏御前の悲しい物語が残る尼寺「祇王寺」。
京都・奥嵯峨にひっそりと佇む。
写真提供:小川康貴写真事務所

舞はもちろん、美しい能装束にも魅了される。面は、いずれも「孫次郎」(上下写真)。写真提供:金剛永謹能の会/金剛永謹/国立能楽堂

舞はもちろん、美しい能装束にも魅了される。面は、いずれも「孫次郎」(上下写真)。
写真提供:金剛永謹能の会/金剛永謹/国立能楽堂

平家物語
隆盛を極めた平家の栄枯を伝える日本文学

 「祇園精舎の鐘の声、諸行無情の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。猛き者も遂には亡びぬ、偏に風の前の塵に同じ。」  あまりにも有名なこの書き出しで始まる『平家物語』は、平氏一族の興亡とともに平安末期から鎌倉初期にかけての源平の争いを描いた軍記物語です。武士として初めて昇殿が許された平忠盛とその息子の清盛、清盛の子・重盛と孫の維盛に到る4代の生涯を描いています。平家物語は、歴史を綴った資料としてはもちろん、文学としての評価も非常に高く、現在でも演劇や小説の題材にされるほど。また鎌倉時代、盲目の琵琶法師が琵琶を奏でながら語った「人生の移ろいと儚さ」は、年齢や身分を問わず、多くの人々に感動を与えました。

清盛に寵愛された二人の白拍子による相舞が美しい、能楽「祇王」。人(清盛)の心が移り変わっても、友情に変わりがないことを誓う。写真提供:金剛永謹能の会/金剛永謹 金剛龍謹/国立能楽堂

鎌倉時代初期に、平家詞曲を語るために作られた「平家琵琶」。こちらは、日本最古の平家琵琶。
藤田美術館蔵。

[ 財団法人藤田美術館 ]
大阪市都島区網島町10番32号
TEL:06-6351-0582
開館期間:
春季展/3月中旬〜6月中旬
秋季展/9月中旬〜12月中旬
休館日:毎週月曜日/上記開館以外の期間
開館時間:10時〜16時30分
入館料:
大人800円/高大生500円/小中生300円

祇王母娘と仏御前の悲しい物語が残る尼寺「祇王寺」。京都・奥嵯峨にひっそりと佇む。写真提供:小川康貴写真事務所

祇王母娘と仏御前の悲しい物語が残る尼寺「祇王寺」。
京都・奥嵯峨にひっそりと佇む。
写真提供:小川康貴写真事務所

ページトップへ