掲載:2009年 秋 vol.01

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透析を受けている方の食卓に生野菜

低カリウム・ホウレンソウ栽培に
秋田県立大学が成功

カリウム摂取量を制限しなくてはならない方に朗報です。秋田県立大学では、野菜の中でもカリウムを多く含むホウレンソウの低カリウム化に成功しました。

ガン、脳卒中などの生活習慣病を予防し、より健康的に生活するためには、できれば多くの種類の野菜を摂りたいもの。しかし緑色の葉菜や根菜にはカリウムが多く含まれており、透析を受けている場合はカリウムを除去するために野菜を水にさらしたり、茹でたりする必要があります。

秋田県立大学の小川敦史先生は、実は自身も透析を受けています。病気になって初めてカリウム制限のことを知り、「自分の専門を活かして野菜のカリウムを減らせないか」と考えました。品種改良や遺伝子組み換え技術は時間やお金がかかり、安全性への不安も指摘されています。小川先生は「今ある方法を工夫して、普及しやすい技術を」と考え、カリウムを減らした栽培方法を採用。栽培開始から4週目と5週目にカリウムを与えずに栽培したところ、カリウムの量を従来のホウレンソウの3分の1から4分の1まで減らすことができました。

カリウムが減った一方、ナトリウムは少し増えました。それについて小川先生は「塩分制限によりナトリウムは抑えることができるから、カリウム減少による利益のほうが大きい」と説明します。気になる味のほうは、「従来のものよりみずみずしくて美味しい。家族も一緒に食べる野菜として浸透していけば」と考えているそうです。

小川先生は他の野菜への応用も進めています。リーフレタス、サンチュ、コマツナなどでカリウムが減らせることが分かっており、「今後はトマトやイチゴのように葉菜以外にも増やしていきたい」とのこと。腎臓病透析者数は全国に約28万人、毎年1万人ずつ増加していることから、量産体制と流通ルートの確立が待たれます。家庭用水耕栽培キットの開発も進められているので、みなさんの食卓に摘み立ての生野菜が並ぶ日も遠くないかもしれません。

ホウレンソウ比較例

左)が低カリウム・ホウレンソウ
右)が従来の技術で栽培されたホウレンソウ

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