掲載:2014年 No.16

患者さんと家族に元気を届ける音楽のチカラ
介護老人保健施設で、歌を披露する赤澤先生(ハートフルホスピタル)。会場は明るく温かい雰囲気に。

音楽で明るく元気に!


透析医療を専門とする赤澤先生。血管カテーテル手術件数は、全国有数の年間600件。

 人の心を時に癒し、時に勇気づける「音楽」。誰しも、好きな曲や思い出の曲があるものです。その音楽に着目し、患者さんに癒しと元気を届けているのが「ハートフルホスピタル」です。ハートフルホスピタルとは、愛知県名古屋市の名城病院〈腎・糖尿病内科〉の医師である赤澤貴洋先生が結成した、医療系音楽バンド。東海や関西地域を中心に全国で活動し、医療関係者や患者さんだけでなく、多くの人から注目を集めています。
 ハートフルホスピタルが誕生したきっかけは、血液透析のPTA(経皮的血管形成術)の手術において、患者さんの好きな音楽を流したことでした。「医療はサービス業だと思うのです。それも命に関わる仕事だからこそ、患者さんお一人お一人にとって最も良い医療を考えぬいた、血の通ったサービスを目指したいと常々考えていました」と赤澤先生は話します。PTAだけで終わらせない、プラスアルファの医療を考えた一つの答えが、手術中に患者さんの好きな歌手や音楽ジャンルの曲を流すことだったといいます。この取り組みは好評で、手術を行った患者さんの5割の方から「手術時間が短く感じた」、また7割の方から「痛みが軽くなった気がする」という声が寄せられました。この結果を日本透析医学会で発表。さらにNHK特集番組でも取り上げられる中、「もっと患者さんに寄り添った音楽を」と自ら楽曲の作成・演奏を開始したのです。こうして、ハートフルホスピタルとしての活動がスタートしました。


命の尊さや、感謝の気持ち、病気予防の大切さを歌詞に。


ライブ会場での演奏の様子。医療関係者が、医療のテーマで楽曲をつくり演奏するという取り組みは、実はハートフルホスピタルが初めて。

 2007年に結成後、半年後には第1作目となるCD「経過良好」をリリース。その後も、1年に約1枚のペースでCDを発表しています。歌詞は、赤澤先生が研修医の頃から出会ってきた患者さんのこと、会話の中で心に残った言葉、病院での悲喜こもごもを綴った日記をもとにしているといいます。  例えば、50代の頃から糖尿病や心臓のバイパス手術などで血管が随分弱っていた男性の患者さんがいらしたそうです。脳梗塞で数回倒れ、その度にご家族には非常に危ない状態だと伝えられましたが、60代の時に再発し、お亡くなりになりました。後日、ご家族が赤澤先生のもとを訪れ「覚悟はしていたつもりだったけど、日頃の感謝の気持ちを伝えられていなかったのが残念です」と話されたことに心を動かされ、命の尊さや身近な人に感謝を表すことの大切さ、病気予防の重要性を訴えるメッセージを歌詞にしたためたのです。それが「伝えられなかったありがとう」という曲です。


楽曲を通して、患者さんと医療者の心が通い合う。


音楽活動だけでなく、講演会の依頼も多い。

 心のこもった歌詞と楽曲は評判を呼び、現在ではCMやテレビ番組のテーマソングへの起用をはじめ、イベントや介護老人保健施設での演奏も人気を博しています。CDの流通販売収益は、2007年の活動開始以来、全額を臓器移植ネットワークや骨髄移植推進財団、全国腎臓病協議会などに寄付。「私は医師ですが、“先生”と呼んでくださる患者さんは、皆さん人生の大先輩。新人の頃から、そしてもちろん今も、人間として大切なことをたくさん教えていただいています。感謝の思いでいっぱいで、なんとかお役に立ちたいのです」と赤澤先生。
 その思いがつまった楽曲を聴いた患者さんやそのご家族の中には「病院では、先生や看護師さんと深く話す時間があまりないけれど、本当はこんなふうに私たちのことを思ってくださっているんですね」と話す方もいらっしゃるそうです。
 医療関係者からの注目も年々高まり、支援への申し出も増えているといいます。メンバーは、常時募集中。夢は「紅白出場」で、さらに多くの方を勇気づけること! 今後、ますます幅広い活躍が期待されています。

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