掲載:2017年 No.29

透析医療の現場から 医療法人 小山すぎの木クリニック
お話を伺った先生
朝倉 伸司先生

医療法人 小山すぎの木クリニック 理事長・院長
朝倉 伸司 先生

日本内科学会専門医、日本腎臓学会専門医・指導医、日本透析学会専門医。2001(平成13)年に、医療法人小山すぎの木クリニックを開院。外来・透析・入院・介護部(デイケア)の4部門で構成され、それぞれの部門で患者さんが安心して診療を受け、満足して帰られることを最終目標としている。透析治療を行うスペースでは、現在113床を設置。

“しっかり食べて、しっかり透析”をモットーに、
さらに“しっかり働ける透析”も推奨。

朝倉 伸司先生
現在、国内の透析患者さんは約32万人。そのうち3割の方が就労しているといいます。朝倉伸司院長は、オーバーナイト透析について「本当はもっと働きたいという患者さんは多いはず。この透析なら、働くことや働き方を選ぶことも可能になります」と、その魅力を語ります。

 小山すぎの木クリニックは、内科・脳神経外科・循環器内科など全20科を有し、その中の一つである人工透析内科では、日常の透析医療に加え合併症予防のために重要な分野の医師の協力を得ながら、長期的な内科総合医療と生活援助を行っています。
 透析において大切にしているモットーは、“しっかり食べて、しっかり透析をすること”。「特に高齢の方は食が細くなりがちで、その分リンやカリウムなどの摂取量は減りますが、一方で筋肉量が落ちて筋力や身体機能の低下につながりやすくなります。しっかり食べて、しっかり透析をし、増えすぎたリンなどがあれば薬で除く。こうしたケアが良いと考えています」と院長の朝倉伸司先生は話します。
 また、「患者さんの生きがいにつながる医療」を目標とし、さまざまな取り組みを推進されています。その一つが「オーバーナイト透析」です。現在、全国では約4300ヶ所の透析施設がありますが、オーバーナイト透析が受けられるのは、わずか40ヶ所ほど。中でも小山すぎの木クリニックは、栃木県で唯一の施設です。

腎ステーション
院内には透析医療全般を行う「腎センター」と、深夜透析を行う「腎ステーション」がある。腎ステーションには専用の玄関があり、夜でもスムーズに透析室へ入室できるため便利。

 日中仕事をしている人が透析を導入することになった場合、透析時間の関係で、それまでとまったく同じ環境で働き続けることが難しくなってしまいます。しかし、オーバーナイト透析は夜間の睡眠時間を利用するため、日中は仕事ができ、場合によっては少しの残業も可能です。また長時間透析(週3回・8時間以上)に近い時間を確保してゆっくり透析を行うため、体への負担が軽くなります。充分な透析のおかげで食事制限は少なく、しっかり食べられるので体力が付くなど、働く人にはうれしい利点がたくさんあります。
 「透析時間の問題で、まだまだ働きたい人が仕事を制限されるのは本当にもったいないことです。元気に働き続けられることは、患者さんにとって自信や生きがいにつながりますし、社会全体にとっても大きな貢献だと思います。そういう方々を、一人でも多く医療の立場から応援していきたいですね」と朝倉院長。患者さん一人ひとりが輝くための「積極的な医療」を日々考え、実践されています。

東京オリンピックやその先を見据えて、
外国人の患者さんにも快適・安心な透析施設へ。

朝倉 伸司先生
地域連携推進本部長 兼 看護部長
加賀 誠 先生
「韓国の大学との連携やガイドライン策定など新しい取り組みは、パイオニアだからこそ、一つずつ丁寧に確実に進めて形にしたい。自信を持って患者さんを受け入れられる状態で、“新しくこんなサービスができた”と、みなさんに伝えて利用してもらいたいんです」と加賀誠先生。

 小山すぎの木クリニックでのもう一つの大きな取り組みが、「旅行透析」です。近年、海外からの旅行者増加に伴い、外国人の透析患者さんの受け入れが課題になっています。折しも2020年に控える東京オリンピック開催時に、政府は2017年4月時点で4000万人の外国人観光客の訪日を目指しています。
 旅行透析の推進計画の中心を担う加賀誠先生は、「日本を訪れる人たちの中には、当然透析患者さんもいるはずです。日本は透析の技術や機器も素晴らしいし、治安も良いので安心感があると思います。そんな中、例えば“言葉の問題があるから”といったケースで患者さんを受け入れられないとすれば残念です。あと3年もあるのですから、しっかり準備をして医療分野からもオリンピックを支えていきたいですね」と話します。
 東京オリンピックやその先の訪日外国人にとってより良い透析医療を提供するため、長期的な視点からさまざまな計画が進められ、一部はすでに現場でも実践されています。現在10ヶ国との間で旅行透析の話し合いを進めている中、ハード面で最も大きなプランは、韓国の医療施設や韓国患者会との提携です。アジアの国の中でも訪日客が多い韓国の仁済大学の附属病院と連携し、互いの国民が旅行などで行き来する場合に安心して透析医療が受けられる体制を作るため、視察やガイドライン作成を行っているところだといいます。また国内でもこれに先立ち、近隣で腹膜透析を行う施設と提携し、幅広い透析に対応できるようにしました。

朝倉 秀子 さん
事務長(薬剤師・ケアマネージャー)
朝倉 秀子 さん
日々、患者さんや医療スタッフを力強く支える、事務長の朝倉秀子さん。「透析はハンディキャップではありません。若い時はお仕事、リタイアされた後はお孫さんのお世話や趣味など、生涯元気で現役でいていただきたいです」。

 さらにソフト面では、スタッフの教育を強化。「コミュニケーションを重視しています。患者さんに喜んでいただけるのが一番。それに付随してスタッフも“来てもらって良かった”“次はこんなサービスを”と積極的に意見を出し合えるようになるのが理想です」と加賀先生。中には、外国語を話せるスタッフもいて、外国の方とのコミュニケーションの場でも活躍しています。「患者さんにいつ何を聞かれても答えられるように資格は必須ですし経験も大切。国籍は問いません。充分に力を発揮して、みんなで良いおもてなしができればうれしいです」。
 国内外を問わず、旅行透析に力を入れている理由の根底には、「人間らしく、いつまでも元気に生きてほしい」という思いがあるといいます。「人生において自分への一番のプレゼントは旅行ではないでしょうか。生活の中でどうしても制約はありますが、元気を付けて、どんどん出かけて行って、いろんなものに触れて、食事も楽しんでほしい」と加賀先生。全国を飛び回るような人にも安心して利用してもらえる透析を目指し、今も小山すぎの木クリニックは一丸となり力強く進化中です。

患者さんにとって快適な透析を追求した設備が充実しています。

ベッドが1台ずつ仕切られた透析室。

ベッドが1台ずつ仕切られた透析室。半個室でテレビも1台ずつ設置されるなど、ゆっくり落ち着いて透析を行うことができるように配慮されている。

完全個室の透析室。

完全個室の透析室。例えば風邪をひいている患者さんなど、他の患者さんと治療スペースを分けたい時にも利用される。


韓国仁済大学附属病院との医療提携

韓国仁済大学附属病院との医療提携

毎週月曜日はビュッフェランチ

毎週月曜日はビュッフェランチ

アスリートも使用するLEDカプセル

アスリートも使用するLEDカプセル

お問い合わせ

小山すぎの木クリニックのみなさん
小山すぎの木クリニックのみなさん。患者さんが安心できるよう、わかりやすい説明や親身な生活指導を行うなど、親切で質の高い医療サービスの提供を心がけている。

医療法人 小山すぎの木クリニック

内科・循環器内科・消化器内科・血液内科・胃腸内科・糖尿病内科・内分泌内科・脂質代謝内科・漢方内科・老年内科・内視鏡内科・人工透析内科・アレルギー科・アレルギー疾患内科・小児科・皮膚科・脳神経外科・リハビリテーション科・放射線科・腎臓外科・CKD外来の、20を超える診療科で診察を行っている。

〒323-0806 栃木県小山市中久喜1113-1
TEL 0285-30-3456
http://www.suginoki-cl.jp

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