透析を受けながら活躍する人々

掲載:2011年 春 vol.06

香川伸行さん

満塁ホームランは一人じゃ打てない

香川 伸行さん

元プロ野球選手

1961年、徳島県生まれ。浪商高校時代に甲子園に出場し、「ドカベン」の愛称で人気者に。高校卒業後、ドラフト2位で南海ホークス(当時)に入団、1989年に退団。現在は講演会で全国を飛び回っているほか、医療機器販売会社や「福岡ベースボールクラブ」の顧問も務める。2001年に急性腎不全を発症し、2008年4月に透析導入

ダイエットや食事制限なしのふつうの生活

 透析導入前は水がたまって体重が150キロまで増えたんです。入院中は99キロまで減ったけど、今は現役を引退したときとほぼ同じ130キロに戻ってます。でも、医者からダイエットしろとはいわれないし、食事制限を厳しくいわれることもないので、食べたいものをふつうに食べてますよ。食べ過ぎたなと思ったら、次の日に量を減らして微調整をする程度で大丈夫。幸い、僕はもともと酒が飲めないので、食生活で辛いと感じることがないんです。
 医者が「透析をしてもふつうの生活はできる」といっていたので、透析になったからと仕事を辞めるという選択肢はまったくありませんでした。今も講演会や野球教室、医療機器の営業で地方に行くことが多いんですが、出張先で透析を受けながら、多いときは月の半分、1週間連続で出かけたこともあります。出張で透析日を変更しなくちゃいけないときは、同じ病院の患者さんが透析日を替わってくれたり。ありがたいですよね。

野球があればこその “ドカベン香川”

 ドカベン香川杯(少年野球大会)を主催したり、少年野球チームの顧問をしたりと、現役引退後は子どもたちと関わることが増えました。現役時代を振り返ると辛い思い出も多いのですが、やっぱり野球が好きなんですね。今の僕があるのも、“ドカベン香川” をつくったのも、野球があればこそ、 ですから。
 当然、講演会や野球教室で話すのも、僕が野球で学んだことが中心です。例えば、満塁ホームランは一人じゃ打てないということ。当たり前のことだけど、満塁ホームランはランナーが3人出てくれなきゃ打てません。僕は高2の秋にケガをするまで、そのことに気づきませんでした。1年からレギュラーで4番だったから、満塁ホームランも自分一人で打っている気でいたんです。好きな野球ができるのも、仲間や親の助けがあるから。人は一人では成長できない、助けられて成長していくってことを、僕は野球を通して学んだんです。

スポーツを通して子どもたちを元気に

 最近の子どもたちを見ていると、元気がないなと感じます。僕が子どものときは、ただただ楽しくて野球をしていたけど、今の子どもはみんな難しい顔をしていて、楽しさが伝わってこない。怒られないように、大人の顔色をうかがいながら野球をしているんです。子どもたちにはもっと伸び伸びと野球をしてほしい。
 だから、これからの僕のテーマは、スポーツを通して子どもたちを元気にすることです。そのためにはスポーツ施設を整備すべきなのか、指導者の育成やサポートの仕組みをつくるべきなのか、何をすべきなのか。いろんな人の力を借りながら、じっくり考えていきたいと思っています。

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