透析を受けながら活躍する人々

掲載:2010年 冬 vol.05

渡部 又兵衛さん

笑いが栄養 笑いが快感バロメータ

渡部 又兵衛さん

お笑い芸人 ザ・ニュースペーパー

1950年、新潟県生まれ。小学4年で北海道小樽市に移る。演劇の道を志し桐朋学園短大演劇科入学。劇団「民芸」入団。8年在籍後お笑いに転向。日本テレビ「お笑いスター誕生」優勝。NHK第2回新人演芸コンクールで最優秀賞獲得。「キモサベ社中」などを経て、1988年「ザ・ニュースペーパー」結成。糖尿病を悪化させ透析歴9年。

毎日のニュースを笑い飛ばす!

 ザ・ニュースペーパー(TNP)は渦中の人の人物模写をとおして、毎日のニュースを庶民の目で笑ってしまおうという社会派エンターテインメント集団です。政治、経済、事件、芸能などのニュースを素材に、風刺コントでライブ活動を続けています。鮮度が命のニュースコントに、同じネタは2度と使えません。最近では政界が激動していて、毎日ギリギリまで情報集めやネタ作りに追われています。評判は予想以上にいい。ライブはお客さんとの間に共有空間が生まれ、過激なことでもできるのが刺激的ですが、批判も多いです。
 私が得意なのはさる高貴な大奥様や、立松和平、福田元総理、土井たか子など。いろいろとやってきましたね。風貌やしゃべり方をまねるだけでなく、その人物がさも言いそうなこと、あるいは言わせたらはまりそうなことがネタになるんです。むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く見せることに苦労しますが、誰かの物まねがうまく演じられた時はとても嬉しい。飽きっぽい性格なのに、ここまで夢中になれたのはTNPだけですね。

ザ・ニュースペーパー 今後の主な公演予定
2010年12月14日〜19日 東京 銀座博品館劇場
12月23日・24日 新神戸オリエンタル劇場
2011年1月10日 倉敷市芸文館
1月16日 サンケイホールブリーゼ(大阪)
1月20日 町田市民ホール
1月30日 宇都宮市文化会館 小ホール
詳細は http://www.t-np.jp/

舞台に立つと元気になる



旬の時事ネタを切ったDVDも多数発売中。ライブならではの爆笑ネタのオンパレード。

 TNPがニュースネタを追いかけて20年以上。これは私が糖尿病とつきあってきた20年でもあります。若い頃から劇団で旅から旅、アルバイトに明け暮れて、無茶ばかり。両親とも糖尿病で「注意しろ」といわれながら、気をつけたこともなく、不摂生を続けてました。
 糖尿病だと診断されてからも危機感がなく、生活もそのまま。そのうちに常にへとへとで全身がだるく、のどが渇いて、毎日1リットルの水を飲み干していました。女性役でスカートをはいているときに、お客さんからも「足がむくんでる」と指摘され、医者にいったら「やばい」と。白内障で両目とも手術、1年後に透析導入。壊疽を起こし片足切断、結核も患いました。
 こんな全身ずたぼろのなか、舞台に立つと元気になります。お客さんの笑いが栄養。笑いが快感バロメータ。だからすべてが舞台中心です。透析のあとでも舞台に立ちますよ。透析は生活の一部で、4時間は貴重な時間です。ネタを考えることもあるし、疲れているときは寝る。毒素を抜くと、また舞台のネタが浮かびます。
 舞台に立っているときは足のないことなんか忘れています。でも走っている夢を見るようになりました。もっと過激に舞台を走り回りたい。十代の頃に真摯に芝居を志し、ずっと舞台に立っていたのだから、最後まで舞台に立って、下手から上手に一気に駆け抜け、袖に引っ込んで、パタッと息絶える、それが本望です。

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