透析を受けながら活躍する人々

掲載:2010年 夏 vol.04

朝倉めぐみさん

透析しながら楽しく食道楽!

朝倉めぐみさん

イラストレーター

1961年生まれ。透析暦5年。出版社勤務を経て、ロンドンに留学。帰国後、イラストレーターとして、『ブリジット・ジョーンズの日記』(ソニー・マガジンズ)、『イタリアンカプチーノをどうぞ』(PHP)などの装画・挿し絵のほか、絵本制作、版画制作にも取り組んでいる。9月1日〜12日には鎌倉市のギャラリー「夢松洞」にて個展を開催予定。

食と旅を愛する私が透析導入?!


代表作となった『ブリジット・ジョーンズの日記』(ソニー・マガジンズ)

 私の作品は、ロンドン留学中に描いていた絵がベースです。ヨーロッパのテイストが好きですが、自分の目で見たものでないと描けないので、海外旅行にはたびたび行っていました。旅先でおいしいものを食べるのも大好きで、実はイラストレーターというより「食いしん坊」を職業にしたほうがいいくらい。
 ところがハードな仕事と食べ過ぎから、もともと悪かった腎臓病が悪化、30代半ばに入院したものの、退院後は危機感もなく以前の食生活に逆戻り。42歳のときに、まもなく透析導入だといわれ、ショックを受けました。透析になったら、おいしいものは食べられないし、旅行にも行けない、そう思って、慌てて食事療法を始めたのです。
 けれど、これまでの常識が崩れて、高カロリー低タンパクって? リンって? 野菜を食べちゃいけない? まったくわからなくなってしまいました。それで食べるもの全部を量って記録し、食品成分表を見ながら勉強することに。外食にも秤を持っていくほどストイックな食生活から、食べた食材の中でリンはあれ、カリウムはこれ、ということがわかってくると、じゃあ、あの食べ物は少し減らそう、と自然に考えられるようにもなっていきました。2年頑張りましたが、毎食計量するわずらわしさやストレスから、結局、記録をつけることはやめてしまいました。でもこの頃には、タンパク質やカリウムのことも理解できるようになっていたし、ここまで頑張ったんだから透析も仕方ない、と覚悟もできていました。

個々の食材よりもバランスが大切


エッセイ&イラスト本『何を食べても大丈夫!透析しながら食道楽』(飛鳥新社)を8月下旬に出版予定。

 透析導入で何より嬉しかったのは、厳しい食事制限が軽減されたことです。最初は夫向け、自分向け、別々に料理を作っていましたが長続きしなくて・・・。同じものを食べて「おいしいね」という気持ちを共有したくて、今では「食べちゃいけないもの」も決めなくなりました。チーズも野菜もお鍋もワインもビールも、少しずつならみんなと同じものを、何でも食べていいというやり方です。チーズを食べても、それだけでリンが増え過ぎるわけじゃなく、朝は卵を食べたし、昼にハムを食べたのだから、その蓄積。大切なのは、自分の適量を守ることだと思っています。食べ過ぎないように調整はします。野菜は水にさらすし、リン吸着剤も忘れずに飲んでいます。
 8月には透析を受けながらの食道楽を綴ったエッセイ&イラスト本を出版します。出版社の方と、食事の奮闘努力について雑談しているなかで、本を書くことを決意しました。私はイラストレーターなので、文章を書いて出版することに不安もありましたが、書こうと決めたのは、透析で食べられなくなると思っている人に、「透析してても、食べることを楽しめる」と伝えたかったからなんです。

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