透析を受けながら活躍する人々

掲載:2013年 vol.15

岡本 明子さん

詩集や絵本は、ずっと残っていくでしょう。
私の「想い」を、遠くにいる人や、
未来の人、過去の人にも届けてくれる。
本当に素晴らしいことだと思います。

岡本 明子さん

詩人・絵本作家

テレビ局に勤めながら、作詞や絵本の創作を続けている岡本明子さん。
幼い頃からの闘病生活や、現在の創作活動の楽しみ、今後の夢について語っていただきました。

岡本 明子さん
1973年、福井県福井市生まれ。幼少の頃から腎臓を患い9歳で血液透析を導入。移植を経て、看護学校を卒業した後は看護師として働く。その後、再び血液透析を導入。詩人・絵本作家として、2002年『ぞうに咲くひまわり』、2012年『もあのきもち』を出版。現在は、テレビ局に勤務しながら創作活動を続けている。

創作活動は私のライフワーク。
生きる素晴らしさを実感しています。

おだやかな笑顔が印象的な岡本さん。「今の仕事や創作は大好きです。でも、もう一度看護師の仕事をしたい気持ちもあります」。医療者と患者さん、どちらもわかる岡本さんだからこそ、その言葉に込められた思いは深い。

「絵本を書いた時は、今までやったことがないことに挑戦したくて」と話す岡本さん。今は福井テレビのキャラクター・テーマソングの作詞も手がけているそう。休日もパン作りやカフェめぐりなどアクティブ。

 透析を導入したのは、9歳の時でした。当時、小学3年生。おそらく幼少の頃から腎臓が弱かったと思うのですが、少しずつ機能が低下しはじめ、腎不全になりました。血液透析をはじめてから、学校生活は一変しました。体育の授業は見学、お昼ごはんは給食からお弁当に、授業を1限目だけ出席して透析に通う日もありました。すべてのことを同級生と同じようにできないもどかしさはありましたが、幼い頃に導入したことで、こうした生活をある意味「特別なこと」と感じることなく受け入れてこられた部分もあります。それに、家や学校では身近な人たちが、いつも親身になって助けてくれました。本当に感謝しています。
 中学1年生の時に、献腎移植を受けました。無事に適合し、ずいぶん元気になって、今度は同じように病気で苦しむ人たちのお役に立ちたいと考えたんです。看護師の道を選び、7年働きました。周りの方の温かい理解に恵まれ、患者さんの想いにも寄り添うことができ、充実した毎日でした。
 しかし、体調を崩して透析を再開。この時、現実的に「死」というものが見えてきたと思いました。もし私がいなくなっても残していけるものは何かと考えました。また、いま生きているからこそ、自分の体を通してできることをできるうちにやっておきたいと、詩集を出すことを決めたんです。詩は子どもの頃から書いていたので、私にとっては自然な選択でした。2002年、詩集『ぞうに咲くひまわり』を出版。読んでくれた友達や、透析患者さんの「元気が出たよ」という言葉が、私に生きる素晴らしさを実感させてくれました。その気持ちを大切に毎日過ごすうち、新しい題材が自然と見つかっていたんだと思います。10年後の2012年、今度はストーリーだけでなく絵にも挑戦した絵本『もあのきもち』を出版しました。『もあのきもち』は鼻が短いゾウが主人公の話ですが、他のゾウとの違いを受けとめつつ、さまざまなシチュエーションで「もあの気持ち」を考えていくストーリーにしています。地元の保育園でも子どもたちが先生や親御さんと読んでくれて、「もあだったら、どう思うかな?」と、日常のできごとや人との関係を振り返って考えるきっかけにしてくれているそうです。
 現在、次の3作目の出版に向けて、準備を進めています。その次は…絵本『もあのきもち』を英訳して世界に発信したい。そしてこの本を題材にしたミュージカルも作ってみたいです。「今できることを、精一杯」。これからも、自分のペースでどんどん挑戦していきたいです。

著書のご案内

『もあのきもち』
出版/文芸社 1,155円
鼻が短いゾウ「もあ」の日常のできごとを通して、思いやりの大切さや、個性の尊さについて考える絵本。最後のページには、読者が「もあ」の気持ちを書き込み、絵本が完成する。
※『ぞうに咲くひまわり』(文芸社/840円)ともに、全国書店で予約・販売。インターネットからも購入可。

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