
今回は、透析を続ける中での海外旅行の経験を、K・Yさんが懐かしい思い出とともに綴ってくださいました。

妻と共にエジプトへ透析旅行
二〇〇五年十一月、透析治療を始めて十六ヵ月目、旅行先にエジプトを選んだ。毎日世話になる女房に、あのピラミッドを見せたかったのが理由の一つだった。それに私はエジプト旅行の経験があり、体力調整ができると思った。
透析を受けている方四人、保護者二人、添乗員と合計七人のツアーだった。ピラミッドへは、体力を考えて、元気な若者二人と添乗員に女房を預けて送り込んだ。記憶では、中のスロープの幅より石棺の方が大きかったから、石棺は最初からあの場所にあったはずだが、王のミイラを納めた痕跡は一つも残っていない。ピラミッドはいまだ謎の存在だ。
ピラミッドについて、もっと女房に説明しておけばよかったと思った。でも、戻ってきた女房の最初の言葉は「百聞は一見に如かず」だった。その一言で私は満足した。その後、夫婦共通の話題にもなった。
海外での初めての透析はカイロ陸軍病院だった。旅先での透析は、予め透析機器メーカーの納入先を調べ、病院を選ぶと聞いていたが、不安な気持ちはあった。
採血の後、私だけ別室に呼ばれ、「貴方は肝炎です」と言われた。私が出発前に貧血気味のため輸血したことを話すと、別の病院で血液検査を受ける羽目になった。「間違いでした」とは言えなかったのだろう。結局二回目は陸軍病院で問題なくできた。帰国して透析の先生に肝炎の話をしたが、「心配しなくていい」と言われて安心した。
肝炎も大変な病気と聞くが、透析も十年、二十年続ければいいという単純なものではない。しかし、始めた年齢にもよるが、三十年、四十年と続けている方もいる。一日一日を大切にして毎日を生き続けよう。あの時も今も、そう思っている。
