Mental Care

心も健康でいるために 第3回

透析を受けていることからくる
ストレスとのつきあい方

サイコネフロロジーは、
腎臓病や透析を受けている方のストレス、気持ちや行動を学び、
毎日の治療やケアに役立てていくことをめざしています。
ひとくちにストレスといいますが、
まず、ストレスの原因になりえる出来事が起こり、
それによりさまざまな心身の変化が生じることが、ストレス状態です。
同じ透析を受けている方でも、その人の考え方によって、
強いストレスを感じる方と、さほど強いストレスを感じない方がいます。
今回は、サイコネフロロジーを実践している堀川直史先生に
透析を受けている方のストレスについて伺いました。

ストレスの3つのあらわれ方

 透析を受けている方のストレスの原因として、腎不全・透析という医学的な問題と、病気と治療を続けることに関係して起こる社会や家での問題のふたつが考えられます。(図1)
 これらの問題は、「体調の変化」、「気持ちの変化」、「行動の変化」という3つのストレス状態としてあらわれ、互いに影響を与え合っています。(図2)
 医療者からみて、透析を受けている方の重要な変化は行動の変化です。ストレス状態が強いと、水の制限や食事療法などを続けることが難しくなってしまいます。薬をきちんと飲まなくなったり、まれですが、透析をキャンセルしてしまう人もいます。

図1 透析を受けている方のストレスの原因
図2 ストレス状態のあらわれ方

ストレスへの対応策

 しかし透析を受けている方に接していていつも思うことは、ストレスは強くても、それにうまく対応している人が多いということで、人間は強いものだなと感じます。
 対応の仕方はその人ごとに違っていますが、「透析は仕方がない。考えても仕方がないからなるべく忘れるようにして、自分の生活を送るようにする」という人が多いように見受けます。そのほかにも、「できるだけ体によいことをしよう」と工夫する人や、「病気や透析についての情報を集め」、ときには医療者もおどろくような詳しい知識をもっている人もいます。どの方法もすばらしい対応策だと思います。
 このように、多くの人が透析を受けることからくるストレスを上手に軽減しています。しかしこれをひとりでおこなうのは、難しいこともあるかもしれません。家族や友達、病院での仲間などの支えがあれば、ストレスはずいぶん軽くなるでしょう。
 多くの医療者も、透析を受けている方々を支援し協力しながら治療をおこないたいと思っています。透析は、本人と医療者の協力がなければうまくいきません。「共感的な関係」を築き、その上で率直に相談できるようになることが、協力して治療を進めるためには必要です。病院によってできることとできないことはありますが、今後のよい医療のためには、実際の治療のときに意見を聞かせていただくことが大切です。

堀川直史 先生

埼玉医科大学総合医療センター メンタルクリニック教授
ここで述べたことは、私がこれまでに大勢の透析の方の心理的ケアに参加して、本人から聞いたこと、自分で勉強したこと、それに基づいて考えたことです。みなさんが実際に感じたり、思ったりしていることとは違うかもしれません。もし機会があれば、遠慮なくそれを教えていただきたいと思います。

堀川直史 先生

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