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透析患者さんが向き合う食事の管理

社団法人全国腎臓病協議会 会長 宮本 髙弘さん

略歴

1982年 慢性腎不全にて人工透析治療導入
1999年 兵庫県腎友会 事務局長
2000年 兵庫県腎友会 常務理事兼事務局長
2005年 社団法人全国腎臓病協議会 理事
2006年 社団法人全国腎臓病協議会 副会長
2009年 社団法人全国腎臓病協議会 会長

ご自身の体験をもとに透析生活の食について、宮本さんにお伺いしました。
宮本さんは透析歴25年で、これまでに気をつけてこられたことを含め答えていただきました。

透析生活で気をつけていることはどんなことですか。

私が透析導入時に先生や技師さん、看護師さんから教えられたことは、透析生活を続けるには“両輪”が大事であるということです(図1)。そもそも透析を導入するということは、腎機能が廃絶し、尿量が減少(無尿)します。ですから「透析療法」が必要となるのですが、同時に患者自身の「自己管理」が重要となってきます。この“両輪”が継続できてこそ、安定した透析治療生活が送れると言われ、それを実践してきました。

図1 透析治療生活の“両輪”

特に食について気をつけていることを教えてください。

第一に、栄養バランスを考えて必要なエネルギーを確保するよう心がけています。摂取するエネルギー量を上げるために、油を使ってカロリーを上げています(私の場合は、マヨネーズやドレッシングなどをよく使います)。また、炭水化物、特にごはんをしっかり食べるようにしています。

第二に、水分のコントロールです(表1)。透析を始めると尿が出なくなりますので、「身体に入ってくる水分」と「身体から出ていく水分」を計算しなくてはなりません。また、透析でどれだけ除水することが可能かを常に考えています。例えば、夏は発汗量が多くなるので水分バランスが比較的取りやすいのですが、寒くなっても夏と同じペースを保っていると、体重が一気に増加してしまうことがあります。そのため、自分の体重を何キロに定めるのかが重要になります。

表1 水分のコントロール

水分が溜まっていない時の体重が目標体重であり、ドライウエイトと言います。通常の透析と透析の間の体重変化は、3?5%が適正と言われています。私の場合、現在のドライウエイトは70kgですので、透析間の体重増加を3.5kg以内に抑えなければなりません(図2)。普段は週3回、4.5?5時間/回の透析で水分コントロールも良好に保っているのですが、水分を摂りすぎると、体重が“危険水域”の4kg増になってしまうことがあります。このような時は、1週間かけてドライウエイトに戻すように心がけています。一度に大量の除水を行うことは、心臓に大きな負担がかかるからです。

図2 1週間の体重変化

第三にカリウムのコントロールです。カリウムは基準値を超えるとしびれや脱力感を感じ、不整脈が現れて、心停止に至ってしまうことがあるので、特にカリウムが多く含まれるバナナやメロンなど果物の摂取には気をつけています。

その後透析年数が長くなると、水分やカリウムなどの管理は身に付いてきます。それにしたがって、(1)カルシウムの沈着による異所性石灰化、(2)二次性副甲状腺機能亢進症、(3)アミロイド症、などの合併症を起こさないように、リンとカルシウムについても気にするようになりました(表2)。例えば、乳製品を控える、ちくわやソーセージなど練り物を控える、小魚類も控えるようになりました。インスタント食品も極力食べないようにしています。また、たんぱく質を多く摂取すれば、それだけリンも多く含まれています。リンのコントロールには、食事内容に気をつけることと同時に、リン吸着剤の服用も欠かせません。実際、透析歴が長くなると、リンのことが気になるというアンケートの調査結果も出ています(図3)。

表2 長期透析における合併症予防の意識変化

図3 管理が困難な栄養素

宮本さんの食生活のパターンを教えていただけますか。

具体的に、私の食生活の例をあげてみます(図4)。

図4 “透析食”を取り入れた食生活例

味噌汁であれば具だけ食べるようにしたり、卵はリンのことを考えて1日1個にしています。また、サラダのキュウリやにんじんなどの野菜類は、水にさらしてカリウムを落とすように工夫しています。外食の際などは、その時のメニューに応じて少しずつ残したり、極端にリンやカリウムの高いものは避けたりなどの工夫をしています。

これらのことを実践しながら25年間透析と向き合ってきましたが、「十分な透析治療をする」、「透析食の基本をおさえてしっかり食べる」、「処方された薬剤を正確に服用する」、「適度に身体を動かす」といった基本を忘れずに、これからも透析生活を続けていきたいと思います。

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