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透析患者さんが向き合う食事の管理

東京家政学院短期大学 生活学科教授・東京医科大学腎臓内科 管理栄養士金澤 良枝先生

略歴

1981年 東京家政学院大学卒業
1992年 東京医科大学腎臓内科 管理栄養士(現在に至る)
1995年 東京家政学院短期大学生活科学科 講師
2004年 東京家政学院短期大学生活科学科 助教授
2006年 東京医科大学にて医学博士号取得
2007年 東京家政学院短期大学生活科学科 准教授
2009年 東京家政学院短期大学生活科学科 教授

食べるということは毎日の生活に欠かせないもののひとつです。
東京家政学院短期大学の金澤先生に、食事管理の重要性についてお話しいただきました。

血液透析患者さんの食事管理で大事なことは何でしょうか。

血液透析患者さんの食事管理は、「食塩・水分のコントロール」「カリウムを摂りすぎない」「3大栄養素の整った食事を摂取する」ということが基本で、長期透析療法における合併症を予防することが目的です。

血液透析患者さんに行っている栄養指導の手順を教えてください。

(1)食塩と水分のコントロールをしっかり行う

皆さんは、食塩量の多い食事を摂取すると(例えば寿司など)お茶を飲みたくなることがあると思います。逆に水分を摂りすぎると、食塩の多い食品が食べたくなるという経験をおもちではないでしょうか。
食塩の摂りすぎが水分の摂りすぎにつながり、透析間体重の増加となりますので、食塩をできる限り控えることが大切です。図1に示すように、塩と水の悪循環となってしまうのです。また、食塩摂取量の多い患者さんでは水分摂取量も同時に多くなり、透析間体重増加量も多くなっています(図2)。したがって、食塩摂取量を抑えることが大切なのです。

図1 食塩・水分管理と体重管理

図2 食塩摂取量と透析間体重増加量

(2)カリウムを摂りすぎない

ほとんどの食品にはカリウムが含まれています。透析前の血清カリウム値が高値であった場合は、どのような食事内容であったか患者さんとお話をして原因を突き止め、今後気をつけられるようにお話ししています。

(3)適正なエネルギー摂取と3大栄養素のバランスを取る

食事の全体のエネルギー量が不足していないか過剰に摂取していないか患者さんと相談します。そして、3大栄養素の配分は適切であるか考えます。

特に長期透析患者さんでは、慢性的なエネルギー不足からの痩せが問題になることがあります。痩せないようにするには、まず炭水化物(特にごはんやおもちなど)をしっかり摂取することを勧めます。脂質もエネルギー源として必要な栄養素ですが、過剰摂取になると動脈硬化性疾患の危険因子となるので、量や摂取する食品内容には注意する必要があります。たんぱく質も適正量の摂取が大切で、アミノ酸スコアの高い動物性たんぱく質を摂取していただきたいと思います。ただし過剰摂取は尿素窒素、リン、カリウムの値の上昇につながります。たんぱく質の多い食品にはリンもたくさん入っています。図3のようにリン摂取量とたんぱく質摂取量は相関関係を認めます。たんぱく質摂取量を抑えればリン摂取量も少なくなります。

リンをコントロールすることは、血管の異所性石灰化、二次性副甲状腺機能亢進症の予防にもなりますので、とても重要です。また、食事だけでリンの値を正常に保つのは非常に難しいので、リンを吸着する薬を服用することも大事になります。

図3 リン摂取量とたんぱく質摂取量

(4)サプリメントや健康食品について

不足する栄養素を補助的に補うことが可能ですが、過剰摂取による有害性も考えられますので、注意が必要です。これらを摂取する場合は、必ず医師や管理栄養士に相談していただきたいです。

目安として、一般の食事はどれくらいの栄養価なのか教えてください。

図4 一般的な食事の例

図4の献立で、おおよそエネルギー量740kcal、たんぱく質35g、リン500mg、カリウム1,400mg、食塩4g程度と考えられます。

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