
本年度最後となる「透析食レシピ クッキング&セミナー」は、2010年12月12日(日)、大分市鶴崎公民館で開催されました。参加者数は56名で、他の会場に比べ、男性の参加が多くみられた会となりました。当日調理いただいたメニューは、第2回バイエルレシピコンテスト受賞レシピの「米粉のロールケーキ」、またオリジナル・レシピの「大分県産 豊後牛のハンバーグ〜にらソース〜」、そして「カボスを使った椎茸のマリネ」の3品です。
オリジナル・レシピを考えていただいた松山医院大分腎臓内科 管理栄養士主任の大塚美佳先生からは、3品の合計の栄養価を考えると豪華な内容になっているため、その日の夕食や次の日の食事などで調整し、バランスよく食べることが必要であるとのお話がありました。「ハンバーグ」のレシピで使われた「かぶ」と「にんじん」と「にら」は松山医院で栽培された無農薬野菜で、素材の新鮮さを生かし、「かぶ」と「にんじん」は味付けをせず、「にら」は塩分控えめでもおいしく食べられることが紹介されました。また「マリネ」は、透析患者さんにとって塩分制限とエネルギー補給ができる便利なレシピで、柚子こしょうで味を引き締めながら、「しいたけ」の旨みと「カボス」の酸味で減塩するコツが披露されました。
3品合計の一人分の栄養価は以下の通りです。
| エネルギー (kcal) |
たんぱく質 (g) |
カリウム (mg) |
リン (mg) |
塩分 (mg) | |
| ご飯 150g | 252 | 3.8 | 44 | 51 | 0.0 |
| ハンバーグ | 436 | 16.7 | 535 | 195 | 1.5 |
| マリネ | 86 | 1.7 | 221 | 35 | 0.2 |
| ロールケーキ | 138 | 3.1 | 64 | 61 | 0.1 |
| 合計 | 912 | 25.3 | 864 | 342 | 1.8 |
ご講演の時間では、松山医院大分腎臓内科 理事長・院長の松山和弘先生に「透析患者さんの高リン血症の合併症と治療」についてお話しいただきました。まずは、CKD-MBDのご説明があり、CKDとは、「慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease) 」の頭文字をとった言葉で、MBDとは「骨ミネラル代謝異常 (Mineral and Bone Disorder) 」を指すことから、CKD-MBDは「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常」を意味し、“血管を含む全身の石灰化” から生命予後に影響を及ぼすことがお話しされました。
対応策としては、(1) 食事療法 (リン制限食)、(2) 薬物療法 (リン吸着薬)、(3) 透析管理、(4) 副甲状腺外科的治療の4点が挙げられます。尿中リンの排泄が減少し、血清リン値が上昇/血清カルシウムの値が低下すると「高リン血症」となり、「異所性石灰化」、「二次性副甲状腺機能亢進症」をもたらします。
「異所性石灰化」は、本来では生じない身体の部位組織に石灰沈着が起こり、関節痛や心筋梗塞、脳梗塞にもつながることから、リンを適正に維持できなければ合併症を招き、生命予後にも影響するといわれ、実際、血清リン値が高ければ高いほど、死亡リスクが高まるというデータも確認されています。
上記の通り、対応策には4つありますが、(1) のリン管理を考慮した食事療法が基本となることから、患者さんは透析や薬物療法だけでなく、「おいしく食べて、長生きする」するためにも食事に関する知識を高め、調理のコツなどをつかみながら、透析治療を続けていくことの大切さを述べられました。



