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楽しく作って、美味しく食べて、長生きできる透析食 バイエル・レシピコンテスト 受賞作品発表

表彰式レポート

表彰式レポート2009年3月15日(日)、世界腎臓デー(毎年3月第2木曜日)にあわせ、「第1回 バイエル・レシピコンテスト」の表彰式を実施いたしました。

本コンテストでは、2008年10月から12月まで、透析食を普段から調理されている患者さんやそのご家族(個人部門)、また患者さんの食生活をサポートされているグループの方々(団体部門)からのオリジナルレシピを募集してまいりました。

その結果、団体部門13点、個人部門38点、計51点の応募をいただき、厳選なる審査により選ばれた受賞作品が表彰されました。

受賞者発表

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個人部門

遠藤正己 さん
(透析患者さん/福島県会津若松市在住、55歳)

透析歴25年の遠藤さんは、お母様が亡くなられてから透析食を作り始め、そのキャリアは10年になります。透析患者さんは、カリウムを制限することへの配慮から、野菜や果物を控える方が多いのですが、今回のレシピは、カリウム量が650mgに抑えられ、野菜や果物を食べたという満足感が味わえる内容になっています。食べられないものを我慢するのではなく、食べられる範囲でレシピを工夫し、なおかつ1食のバランスや栄養管理がきちんとされていることに高い評価が集まりました。また、日本画家で日本画教室の講師である遠藤さんならではの盛り付けの美しさがグランプリ受賞の決め手にもなりました。

受賞コメント今回のレシピコンテストに応募するために、初めてレシピとしてまとめた作品でグランプリを受賞できたことにとても驚いています。料理のヒントは外食から得ることが多く、塩分や食べる量に気をつけながら、家族も一緒に食べられるものを作ります。毎日のメニューは、1カ月に1度の検査値を見ながら考えます。料理を作ることは苦にはなりませんが、カロリーとカリウムのバランスには苦労しています。ただあまり神経質にならず、特別なことをしているという意識を持たないことが、透析食を続けるコツかもしれません。普段は、塩分の計算の難しさから洋風のメニューが多くなりますが、これからは和風のメニューにも挑戦していきたいと思います。

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小林芳樹 さん
(透析患者さん/新潟県新潟市在住、39歳)

新潟市内の中学校で技術の教師をされている小林さんは、透析歴1年7カ月で、準グランプリの受賞となりました。主にカロリーに配慮していた糖尿病の食生活から、たんぱく質、塩分、リン、カリウム、また水分にまで気をつけなければいけない食生活に変わったときは、とても戸惑われたという小林さん。現在は、以前に購入していた食品成分表を見直し、1つ1つの食材の栄養素をチェックしながら、新しいレパートリーを増やされています。新潟の食材をできるだけ使い、味気なくなりがちな透析食に、新鮮なおいしさを加える工夫を忘れないレシピに高い評価がつけられました。

受賞コメント透析を始めたときは、悲しみよりも死への恐怖から、栄養管理に必死になりました。透析と同時に入院生活となり、入院期間中に受けた医師からの指導が今の食生活の基礎となっています。自宅での食事はもちろん、技術の教師をしている学校にも毎日手作りのお弁当を持参し、昼食でも食生活の管理を怠らないよう気をつけています。これからの課題は、リンの管理です。カリウムはよく洗い、茹でこぼすなど調理の工夫によって管理ができますが、リンの場合は容易ではありません。また、洋風メニューにも挑戦し、茶色くなりがちな毎日の食卓を、彩り豊かに変化させていきたいと思っています。

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井手内洋一 さん
(透析患者さん/愛媛県松山市在住、40歳)

今年の3月で透析歴3年となる井手内さんは、透析導入時から透析食を作り始めて、110kgあった体重を現在の74kgまで落とされました。毎週、1週間分食べたものは必ず献立表にまとめ、毎日の体重や血圧の値と併せて栄養士さんに提出されます。週3回透析のために訪れるクリニックでは、栄養士さんからの指導も欠かさずに受けていらっしゃいます。応募作品は、もち米を使ったおこわを盛り込みながらも調理時間が35分という手軽さと、前日の残りものをうまく活用した献立が評価のポイントとなりました。今後の課題は、高カロリーの食事を摂りながら減量すること。愛媛大学の人事課に勤務しながら、仕事と食事管理の合間を縫ってウォーキングを続けることが、井手内さんの新しい目標です。

受賞コメント透析食を作り始めた頃、目標として決めたことは、レパートリーを広げ3?4カ月間は同じ献立を作らないことでした。最近、今までの献立表を見直したところ、8カ月間同じ料理が食卓に並んだことはありませんでした。ただ、まだ食事管理においては学ばなければいけないことがたくさんあると、日頃からとても感じています。今回、普段から食べているレシピで佳作という賞をいただきましたが、これからは他の透析患者さんたちがどのような献立を作っているのかを勉強し、今後のレシピ作りに向けてヒントを得たいと思っています。特に「食べてはいけない」と思われている乳製品なども、量を控えながらうまく活用するレシピがこれからの課題です。

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河野一江 さん
(透析患者さん/愛媛県松山市在住、68歳)

河野さんが透析を始めたのは約13年前。透析食作りへの取り組みは、透析が導入された際に入院した病院の献立を、管理栄養士さんの指導のもとメモしたことから始まりました。現在も、毎週1回病院で出される透析食をメモし、わからないことがあれば必ず栄養士さんに質問して、ご自宅で作ってみるという努力を欠かしません。今回受賞された作品は、13年間の努力で得られたレパートリーの中から厳選されたメニューです。1食のバランスや栄養管理の良さだけでなく、いままでの努力の成果が今回の受賞につながりました。

受賞コメント応募した時期は左足を骨折したばかりで、台所に長時間立つことができず、1品ずつ何日もかけて作り、家族にも試食をしてもらいながら、一番おいしくできた主食、主菜、副菜を応募作品として選びました。何度もくじけそうになりながら初めて挑戦したレシピコンテストでしたが、レシピが完成したときは達成感が得られ、晴れやかな気持ちで応募することができました。透析食を作り続けて13年間、家族も一緒に同じ献立を食べてくれたことにより、今では主人の血圧も下がり、透析食は私の家族にとって健康食となりました。

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髙橋利子 さん
(透析患者さん/茨城県牛久市在住、60歳)

髙橋さんの透析歴はまだ1年ですが、食事療法のキャリアは7年半前に腎不全と診断されてからになります。腎不全と診断されてから1日も欠かさず食事の記録を続け、透析導入後は、特にリンとカリウムに気をつけた食事をされています。動物性たんぱく質については、1日のたんぱく量の60?70%を摂取することを心がけ、更にエネルギー不足にならないように、品数もできるだけ40品目を摂るように気をつかわれています。また、食材を低たんぱく米やでんぷん米などに代えることで副菜を増やすなどの工夫によってできたレシピに、注目が集まりました。地道で正確な栄養管理と食材による工夫が、今回の受賞につながりました。

受賞コメント慌ただしく応募したレシピコンテストでしたが、改めて栄養管理について勉強するきっかけになりました。また、今回の受賞を機に、周りの方々がレシピや栄養管理に興味を持ってくださるようになり、公に認められることの重要性を感じています。透析になっても行動範囲をなるべく狭めることのないよう、外食時や海外旅行には低たんぱく米を持参し、自炊できる旅行先には持ち運び用の秤を使って料理する等の工夫は欠かしません。今後の課題は、健康な方の食事と同じ味、そして見た目はもっとおいしく見えるようなレシピを作っていくことです。

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団体部門

大阪府栄養士会透析食研究会
(大阪府)

大阪府栄養士会透析食研究会は、大阪府栄養士会に所属し、透析に関わりを持つ栄養士さん約80名のグループです。昭和51年に創立され、栄養士さんのスキルアップ、そして透析患者さんへの貢献を目的としながら約30年間活動を続けられています。毎月の定例会や年数回の研修会、または患者さん向けに年6回発行している新聞「ひまわり」や年1回の学習会など、活動は多岐に渡っています。受賞作品には、お好み焼きなど地域色が見られ、それぞれの献立の栄養素も細かく正確に記載されていました。今回のグランプリは、これまでの活動のキャリアや患者さんへの貢献度、またレシピの優秀さにより決定されました。

受賞コメント今回の受賞は、これまでの30年間の実績が認められた結果と思っています。透析食は「食べてはいけない」ではなく、患者さんに「食べてもらう」ことによって、栄養管理をしていくことが大切です。これからも患者さんがおいしく食べて、健康で長生きできるよう、栄養士のスキルアップを目指して活動していきます。また同時に、これまでの実績や経験を若い世代に引き継いでいくことも、忘れてはならない課題となっています。

新見クリニック
(岡山県)

新見クリニックでは、「透析食は美味しくない」というイメージを払拭し、「美味しい透析食」をいつも患者さんに提供することを心がけられています。地元の食材を使い、安価で簡単に作れるレシピでありながら、1日のバランスや栄養管理がきちんとされている点に高い評価が集まりました。また、患者さんが「食べる楽しみ」を失わないように、1カ月に1回「誕生日食」が設けられ、お花やメッセージを添えた季節ごとのお寿司が振舞われます。美味しさを華やかさで演出することを忘れない取り組みも、準グランプリ受賞につながりました。

受賞コメント私たちは、一人ひとりの患者さんに、新見クリニックならではの「心から美味しい」と思ってもらえるような透析食作りを目指しています。また、クリニックの 職員も毎日患者さんと同じ食事をいただき、患者さんでなくても満足できる献立作りを心がけています。今回応募した作品は、高齢者の方でも食べやすく、リン の値を抑える工夫をしたレシピが含まれています。これからも患者さんが「食べられない」と思っている食材を工夫しながら、美味しく召し上がってもらうレシピ作りに励んでいきたいと思います。

広島女学院大学
(広島県)

広島女学院大学の活動は、透析中の患者さんへの食事指導や、患者さんが利用する介護保険サービスの食事支援に携わっているケアマネージャーやヘルパーの方々に向けた透析食指導がメインです。透析中の患者さんのベッドを回り、体重の増加や血液検査値だけでなく、患者さんの日々の生活からも食事指導のヒントが生まれています。「透析食は難しく考えず、手軽に美味しく作る」ことをモットーとされていることから、応募レシピはどれも調理時間が短く、簡単で安価な献立となっています。患者さんと向き合う姿勢や、レシピの手軽さが高く評価され、準グランプリ受賞となりました。

受賞コメント現在、医療現場における栄養士の役割は拡がりを見せており、より多くの方々による患者さんへの支援が望まれています。今回の受賞を機に、学生たちにも、透析食に携わる機会を積極的に提供していきたいと思っています。これからは、一人暮らしの患者さんが増えつつあり、医療施設だけでなく、ご自宅での指導も大切になります。そこで、患者さんや学生たちだけでなく、ご自宅での支援をされるケアマネージャーさんやヘルパーさんへの講習会を更に充実させていくことを課題として、活動していきたいと思います。

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選考委員より

敬称略・順不同

  • 昭和大学 医学部腎臓内科 教授 秋澤忠男全国で約30万人いらっしゃる透析患者さんは日頃より、塩分や水分、たんぱく質に含まれるリン、野菜や果物に含まれるカリウムなど栄養素を制限した食生活を送っていらっしゃいます。一日二日管理するのであれば私たちにもできますが、患者さんはこれを何十年と続けていらっしゃいます。団体部門で受賞された病院・クリニックの現場など、この道のプロである受賞者の方々は受賞作品のような素晴らしいメニューをたくさんおもちのことでしょう。患者さんに還元していただき、長いあいだ、よい食生活を楽しめるよう、引き続きご尽力いただきたいと思います。
  • 東京家政学院短期大学 非常勤講師・管理栄養士 宗像伸子受賞レシピはいずれもグレードの高いものばかりでした。個人部門に関しましては、受賞者と栄養士との密接な関係、また栄養素などの制限のなかで真面目に取り組んでいらっしゃる様子が感じられました。団体・個人部門ともにレシピにはさまざまな調理法、彩り、レパートリーが見られ、非常に工夫されていました。患者さんのQOLを高めるために、奇をてらったものではなく、普段の日常食として持続できるものであってほしいと願います。
  • 東京家政学院短期大学 教授 金澤良枝今回は透析食のレシピコンテストですが、『透析食』とこだわらず、『透析健康食』として一般の方にも見直していただきたいと思っています。過剰な塩分、過剰なたんぱく質、過剰なエネルギーがおさえられているのですから、ぜひご家族も一緒に食べていただきたいメニューです。受賞レシピはいずれもよく考えられていて、受賞作品のなかで甲乙をつけるのが非常に難しいものばかりでした。これが特別なレシピではなく、習慣化されているということも素晴らしい。いただいた作品を私もこれから患者さんにお伝えしていきたいと思います。
  • 社団法人全国腎臓病協議会 会長 宮本髙宏すべての応募レシピが工夫された「力作」ばかりで、私のような者が審査員として点数を付けさせていただくことに、恐縮しきりでした。私は、患者当事者として、透析食の基本を守りながら「いかに楽しく料理し、食べられるか」を中心に、応募者の透析生活のエピソード等に重点をおいて採点・審査をさせていただきました。今後は、透析治療内容や薬剤の改良・進歩を合わせて、透析食のバリエーションももっと膨らんでくるものと思います。次回も「楽しいレシピ」の創作と応募をお待ちしています。

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